nikoです。
色々忘れないうちに書いておきたいことが・・・。
先日、高岡正人さんにご一緒いただいたときのこと。
いつも演奏の時はかなり早めに会場に着くようにしています。
気持ちに焦りがあると、
本人は平気なつもりでもどこか演奏に影響が出る気がするので
できるだけ余裕を持った状態でいたくて。
ところがこの日は電車が遅延。
もともと余裕をもって家を出ているのだけど
遅延のせいで車内がすごい混み具合。
いつもは座れる電車なのに満員で立った状態が長く続きました。
演奏時は荷物が多いし重いのでかなりつらい。
しかも秋なのに夏のように気温が高く、車内の室温が高い。
更に人との距離が近く不快極まりない状態でした。
そこに最近JRの車内によく設置されているモニター。
この日は戦争で破壊された都市や人質に関する映像が次々映されていました。
それを黙って見るしかない立ち位置でした。
目的の駅に着いた時は吐きそうでした。
メンタルによるものなのか物理的環境による体調不良なのか
よくわかりません。
わー、この状態で演奏できるかな。
大丈夫かな、
何かリフレッシュしないと・・・
と思い、方法を探すのですが見つかりません。
そうこうしているうちに、会場に入る時間が近づいてくる・・・。
仕方ないので、吐き気を抑えながら会場に入りました。
いつもどおり簡単な打ち合わせと機材チェックを終えましたが、
しんどい状態は変わらず。
最悪の場合は途中からピアノソロの演奏に切り替えてもらおう
と考えていました。
ところが・・・。
いつも歌の前に1曲、ピアノソロでの演奏をお願いしています。
この日、高岡さんが1曲目に選ばれた曲が”Moon&Sand”
好きな曲で私自身も歌うのですが、
とにかく高岡さんの演奏は美しいの一言でした。
聴いているうちに美しい音の一つ一つが自分の体の中に入ってきて
じわっと体内に広がって
痛んでいるところを修復してくれるような、そんな感覚でした。
曲の途中から、ああ大丈夫、歌える、と思えるようになりました。
実は音楽を聴いていてそういう感覚になった経験はこれまでにもあります。
音楽には何かエネルギーがあると思っています。
東北大震災の時やコロナで演奏活動が厳しい時に
こんな非常時に音楽していて意味があるのか、
なんて声が出ていましたが、私は十分あると信じています。
実際、私は癒されてきているのです。
2020年春~夏は毎晩小曽根真さんの毎晩の演奏配信に力をもらっていましたし、
他の方の演奏で心や体の調子がよくなったことが何度もあります。
戦いはなくならない
これだけ医療技術が発達しても病はなくならない
差別も犯罪も貧困もなくならない。
どうかすると悲観的になってしまいそうな世の中ですが、
それでも美しいものは変わらず存在している。
人の美しいものをつくりだす力は失われていない。
そのことを心にしっかりとどめておこう
なんてことを思っていました。
ちょっとオーバーーですが、
音楽の力について忘れないうちに書いておこうと思った次第です。
Moon And Sand
こちらはキース・ジャレットの演奏。